コラム 第7回: NMFと肌荒れの関係

今回は前回のコラムで取り上げた角質細胞(角層細胞)の中にあるNMF(Natural Moisturing Factor)という潤い成分と肌荒れの関係について取り上げてみたいと思います。

NMFが角化の過程で作られることは前回触れました。

アトピーや乾皮症の方は セラミドの量が少ないことに加え、NMFの量も少なくなっています。
NMFの量が減ってしまう原因は ターンオーバーの乱れ。
ターンオーバーの速度が異常に早くなってしまっているので、十分な量のNMFを作り出すことが出来ず、角層中のアミノ酸の量が減少。水分保持力が低下してしまいます。
セラミドやNMFの減少によって水分保持力が低下した肌は バリア機能が低下し、外部からの刺激に対して弱い肌になります。

ターンオーバーを正常に戻す為のスキンケアとは?

ターンオーバーが早すぎても駄目、遅すぎても駄目なのは分かるけれど、自分の肌のターンオーバーの早さが適切なのかどうか、どうやって判断すれば良いのでしょうか?

鏡で皮膚をじっくり観察してみて、また肌を触ってみてください。
健康な皮膚の場合は 角層が一層ずつはがれても それが目立つものにはならないし、肌を触ったときにざらざらしたような感触になることはありません。
肌を触ったときの感触は柔らかく、肌色には透明感がありますが、赤くなっているようなことはありません。

肌が白く粉をふいているように見えたり、触ったとき ざらざらした感触があったり、肌が広範囲に赤く軽い炎症を起こしているようであれば、ターンオーバーが乱れて、(多くの場合は)通常より早くなっていることが多いです。

また、肌が黄色く、くすんでいたり、触ったときに 硬くてガサガサしている場合は ターンオーバーが遅くなっていることが多いです。加齢によってターンオーバーは遅くなりますから、年齢と共に肌の透明感がなくなって黄味が強くなっていきます。

ターンオーバーが早くて肌荒れを起こしている方は 石けんや洗浄剤での皮膚の「洗いすぎ」に注意しなければなりません。
石けんを使用するのは1日1回(夜)に留め、ダブル洗顔も控えて1日1回きりの石けん洗顔にしておくことが重要です。
そのためには 日中のメイクも 耐水性の強いものは避け、ウォータープルーフではないファンデーションもしくは日焼け止めの上にパウダーを重ねる程度の軽いメイクに留めておくことが重要です。
「石けん洗顔の前に、"メイク落とし"さえ使えば濃いメイクでも大丈夫なんじゃないの?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、クレンジングオイルなどの「洗い流す」メイク落としの場合は 天然系であれ、石油系であれ、必ず「界面活性剤」を含んでいますから、界面活性剤で肌をこすり、その後水で洗い流すという行為そのもので、細胞間脂質やNMFもある程度は落としてしまっています。
ターンオーバーが乱れて早くなっている方は (石けんも含めた)界面活性剤と水で肌を洗う という回数自体を できるだけ減らす必要があります。
洗い流すメイク落としだったら大丈夫・・・という考えは間違いです。

洗顔後は 化粧水と乳液またはクリームで十分保湿する必要があるのは 言うまでもありません。

化粧水の後にお肌を保護するアイテムに ジェルや粘液タイプの美容液のみを使い、乳液もしくはクリームを
全く使わない方もおられますが、これも肌本来の構造や機能を考えると、ベストではないスキンケア法と言えます。

水分、脂質(皮脂膜や細胞間脂質)、保湿成分(NMF)の3つが バランスよく保たれているのが健康な肌なのですから。
これについてはこちらに解説していますので、ご参照くださいね。